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本人写真

本人写真(※遭難時の服装ではありません)

氏名
塩飽雅彦(しわく まさひこ)
年齢
27歳
性別
男性
身長
171cm
体重
57kg
髪型
ショートの天然パーマ
服装
ベージュのズボンに黄緑色のTシャツ(推定)
ザック
オレンジ色のオスプレー
(80L)

ザック写真

遭難時のザックと同じもの

槍ヶ岳・北鎌尾根で行方不明となった友人を探しています

捜索の経緯(時系列順)

2010/7/19

・塩飽と親しい友人から旅会のメンバーに連絡があり、7/17以降塩飽と連絡が取れていないことが判明。

7/20

・朝8時に旅会から長野県警に捜索願を提出。
・塩飽のご両親に旅会から連絡を取る。
・旅会全体に塩飽の遭難が知らされ、ご両親と連絡した上で主にネット上での呼びかけによる情報収集が始まる。

7/21

・県警によるヘリと地上からの捜索開始。24日まで継続。
・ご両親と旅会メンバーの一人が現地入り。旅会メンバーは捜索に参加。

7/23

・旅会主催で捜索支援のカンパを募る。
・旅会有志により関東・関西各地ジム・アウトドアショップ等でチラシ配布開始。
(7/24夜時点で約70箇所にチラシを置いていただいております。ご協力感謝します。)
・旅会有志10名強と都岳連が深夜から現地入り。

7/24

・早朝に旅会有志と都岳連、ご両親合流。旅会は上高地待機班、ヒュッテ中継班、現地捜索隊に分かれる。
・旅会現地捜索隊と都岳連はヘリで最終消息地付近のヒュッテまで急行。現地では塩飽の最終消息付近で、旅会2パーティー、都岳連1パーティー、捜対協(警察関係者)1パーティー、計8名で警察と打ち合わせの上捜索。
・16時に全てのパーティーの現地捜索終了。旅会現地捜索隊はベースキャンプから双眼鏡による捜索を続行。
・旅会ヒュッテ中継班、大槍ヒュッテから主に北鎌尾根登山者に向けてチラシで情報提供を呼びかける。
・旅会上高地待機班、docomoの電波追跡による塩飽の足取り特定の手配、およびアマチュア無線による呼びかけの手配を行う。
・警察による捜索が打ち切られる。

7/25

・塩飽は当初北鎌沢の右俣を通るルートを予定していたが、 捜索の結果右俣からさらに右に逸れる右俣の枝沢が存在することが判明。
数人分の足跡があること、捜索ヘリもそこはチェックしていないことからそこに迷い込んだ可能性がある。
降りるのが困難と見られたが、懸垂下降し上流・下流からそれぞれ捜索。
・その後、流された可能性を考慮し天上沢を千天出合いに向け捜索。

7/26

・旅会1パーティー、北鎌コルから槍ヶ岳を地上から捜索。
・その後同パーティーと警察でヘリによる捜索を予定していたが、雷雨のため山にヘリが降りられず中止。
しかし先にヘリに乗り込んでいた警察の方1名に、予定していた捜索箇所は捜していただけた。
・旅会による現地捜索一旦終了。

8/3

・HGMS(白馬マウンテニアリングガイドシステムズ)による捜索開始。
・6時より行動。湯俣よりダムまで徒歩2時間半のところを5時間かけて捜索。本人および判明している装備品の発見ならず。
・緑地に赤い縁のタオルを発見。(旅会で写真確認したが、本人のものである可能性は低い)

8/4

・HGMS、湯俣から千天出合の手前数百メートル(約30分)までを捜索。先日の大雨のため水量が増しており、それ以上の捜索不可能。全行程通じ、有力な手がかり得られず。
・HGMSの捜索終了。

8/7

・旅会、都岳連、岐阜岳連による捜索開始。旅会としては第二回目の現地捜索。

・無名沢右俣捜索:前回安全上の問題で捜索出来なかった上部を中心に、4名で捜索。(途中の二俣は2-2名に分かれて捜索)
《結果》下部クレバスは溶けて開いており、内部の隅々まで見まわしたが、何も無し。上部は稜線上まで登攀したが、特に不審な個所は無し。無名沢右俣へは入っていないと考えられる。

・北鎌沢左俣:下部クレバス内、上部を4名で捜索。
《結果》クレバス内には何も無し。上部も終盤の安全領域に入るまで登攀したが、特に不審な個所は無し。北鎌沢左俣に入った可能性は無いと考えられる。

8/8

・北鎌沢右俣の枝沢:前回捜索した枝沢以外にも、2本の小さな枝沢があり、それら全てを4名で捜索。
《結果》滑落の可能性がある個所は全て網羅出来たが、何も見つからず。北鎌沢右俣の枝沢に入り込み、滑落した可能性は無いと考えられる。

・北鎌のコル周辺:北鎌のコル〜天狗の腰掛までを捜索。(天狗の腰掛はドコモ電波が3本入り、展望も良好な場所なので、ここまでは到達していないと考えられる)滑落の可能性がある5ポイントから森林内へ懸垂下降し、下部を隈なく調査。
《結果》何も無し。この領域で滑落した可能性は少ないと考えられる。

8/9

・北鎌沢出合〜水俣乗越:これまで何度も捜索してきたが、最後にもう一度確認をした。
《結果》河原の林内、クレバス内を再確認したが、何も見つからず。この領域で事故があった可能性は、徒渉の失敗以外には無いと考えられる。

・旅会、都岳連、岐阜岳連による第二回捜索終了。

8/26

・HGMSによる第二回捜索開始。
怪我をしたが歩ける状態であった場合、水を求めて千丈沢を降りた可能性があると見て3日間に渡り千丈沢周辺を捜索。

8/28

・都内で捜索報告会実地。

8/30

・HGMSによる第二回捜索終了。手掛かり得られず。

9/4, 9/9

・NPO法人ACTと東邦航空による空撮捜索。
《結果》コンピューター解析および旅会メンバーによる目視確認を行ったが、撮影範囲内に塩飽は認められず。
[旅会目視確認結果]
[次回空撮用条件検討結果]

9/23 - 9/26

・旅会、都岳連救助隊による第三回現地捜索。
《結果》水俣乗越周辺、北鎌沢左俣下部枝沢、北鎌沢右俣上部枝沢を捜索したが、手がかり無し。

9/26

・別件遭難捜索中の警察ヘリが塩飽のザックおよび一部遺骨を発見・回収。

10/9 - 10/11

・旅会、都岳連救助隊による事故現場捜索、追悼。
《結果》頭部遺骨を発見、回収。追悼、献花を実施。
[現場捜索地図]

‐ 捜索終了 -

捜索報告会議事録

8/28に、希望者を対象に旅会で現地捜索を行なった者から直接捜索の内容と結果を報告する捜索報告会を行ないました。
以下その記録になります。

開催日時:
2010/8/28 18:30〜
開催場所:
目白 ソイルカフェ
参加者数:
42名
進行表:
  • 旅会サブリーダー・古賀の挨拶
  • ご両親からの挨拶
  • 旅会捜索隊長・蒲池からの捜索報告
    • 北鎌尾根とは
    • 塩飽の行動予定、通信履歴
    • 目撃情報、他のパーティーの動き
    • 想定される事故状況
    • これまでの捜索経緯
    • 捜索結果
    • 今後の予定
  • 質疑応答
資料:
報告に用いた資料のダウンロード(3.8MB PDF)
質疑応答集:
参加者「
クレバスとは?
蒲池「
雪(雪渓)に空いている穴です。
雪が溶けてくる時期になると雪の中に空洞ができ、そこに落ちる事故が昔からよくあります。
底は雪解けの川になっていたり岩が出ていたりしますが、今回水がある箇所は少なかったです。
参加者「
クレバスはどの程度捜索したのでしょう?
蒲池「
可能性のある地域で全てのクレバスを捜索しました。
北鎌沢上部・無名沢上部は都学連の方々が、水俣乗越の雪渓は我々(旅会)がそれぞれ全てのクレバスの中に入って捜索しました。
(地図上で)唯一間ノ沢上部だけは未捜索ですが、ここにいる可能性はほぼ0と見なしています。
参加者「
枝沢とは?
蒲池「
沢の枝道です。間違って枝沢に入るミスもよくあります。
北鎌沢にも幾つかの枝沢があり、私も以前間違って入ったことがあります。
今回最初に疑った箇所の一つです。
参加者「
北鎌沢とは、登山経験としてはどの程度のものがあれば行ける場所なのでしょうか?
蒲池「
様々な見方があります。
従来はベテランルートとして知られていて、10年程度の経験を積んだ人が行く場所であったと思います。
しかし近年はクライミングの流行があり、塩飽も普通の登山者というよりはクライマーとして挑んだものと見られます。
そして北鎌尾根は、クライミングとしては初級だと考えられています。 技術的に難しい箇所は殆どないと個人的には思いますし、塩飽のレベルであれば落ちる事は考えにくい場所です。
但し正規ルートのクライミングが簡単でも、やはりここが一般の登山道ではないバリエーションルートであることが問題になります。道を間違えやすく、間違った道に入ると途端に難易度が上がります。幾ら技術があっても道を間違ってしまうと簡単に滑落します。
難しいとか簡単とかではなく、万人にとって危険な場所と言うべきでしょう。 特に(今回の塩飽のように)初めての経験で一人で登るとなると、かなりの危険が伴うと言えます。
ただ、今回の塩飽の山行が無謀であったかというと、私はそうは思っていません。塩飽のこれまでの経験・技術を鑑みれば、スキルアップのために通るべき道であったと言えます。
もっとも、今思えば、何かあった時に多くの方にご迷惑をかけてしまうことを思えば、その点ではやはり一人というのは無謀だったという気もします。
参加者「
熊に遭遇した可能性は?
蒲池「
私としてはほぼ無いと思いますが、過去に目撃例はあります。
周辺には猿が多く、事件の翌日に北鎌のコルに猿が大量発生したという報告もあります。 その猿に襲われたとか、そのような可能性まで考慮しないと(可能性の高い箇所はほぼ捜索し尽くしたため)捜索ができないような状況になってきているのも確かです。
古賀「
現場とは違う場所ですが、周辺で熊を目撃したという報告はメールで入っています。
参加者「
遭難者は携帯電話を持っていたということですが、それを用いた捜索(GPSなど)は既に行ったのでしょうか?
また、捜索開始時点の携帯電話の状態は?
蒲池「
捜索開始時点で携帯電話は完全に通じない状態でした。
古賀「
水俣乗越までは携帯の電波が通じるので、向かった方向だけでも特定できないかと思い(塩飽の携帯キャリアである)docomoに電波の追跡調査を依頼しましたが、そこから情報は得られませんでした。
蒲池「
携帯で特定できるのは数キロ以内とされていますが、(捜索地図を指し)こちら広く見えますが実は1キロもありません。
古賀「
また山奥で電波が散乱したり届きにくかったりということもあり、特定は難しいようです。
参加者「
先程迷い易いとありましたが、道に目印などは無いのでしょうか?
蒲池「
一切ありません。
参加者「
なぜ目印をつけないのでしょう?
蒲池「
つけてしまうと、一般の方が多く入られてしまうからです。
一般の登山道は整備されていて安全ですが、北鎌尾根のようなバリエーションルートと呼ばれる道は全く整備されておらず、岩はどこが崩れるか分からないし、常に道を間違える可能性があります。
その中で自分で道を探して登るのがバリエーションルートの醍醐味の一つとされています。
参加者「
北穂などには登るべき岩に白い丸印がついていたりしますが、そのようなものも無いのでしょうか?
蒲池「
ありません。
唯一目印と呼べるのが他の人の登った足跡ですが、間違った方向についている足跡も沢山あり、間違った足跡を辿ってしまうケースも多々あります。
地形を把握し、正しい道を選ぶ能力 ―ルートファインディングといいます― が問われる場所です。
参加者「
天上沢から先は下りになっているのでしょうか?
蒲池「
はい。
参加者「
ケガをしてそこを下ったという可能性は?
蒲池「
確かに川沿いに下れば途中から登山道が出てきます。
ただ川沿いは切り立った崖になっていて、高巻き(水線沿いに突破せずに左右から迂回すること)しながら下ることになるため、ケガをした状態でそのルートを採る可能性はほぼ無いと思われます。